僕が初めて自分の体毛を意識し始めたのは、まだ独身だった20代の頃。夏場にTシャツから覗く腕毛や、短パンを履くと気になるスネ毛。当時は、それらをコンプレックスに感じながらも、男が脱毛なんて、とどこか見栄を張って、見て見ぬふりをしていました。そんな僕が、30代半ばを過ぎ、一人の娘の父親になった今、意を決してメンズ脱毛器を購入しました。その理由は、若い頃に抱いていたような、異性の目を気にする見栄や格好つけとは全く違う次元のものでした。最大のきっかけは、当時2歳だった娘との日々の触れ合いでした。娘を抱きしめたり、頬ずりしたりするたびに、僕の剃りたてのザラザラしたヒゲや、腕の剛毛が、娘の柔らかい肌に触れるのが気になって仕方がなかったのです。娘が「パパ、チクチクする」と顔をしかめた時、僕はハッとしました。僕にとっては何でもない日常が、娘にとっては不快な瞬間になっているかもしれない。愛する娘に、いつでもスベスベの肌で触れてあげたい。その純粋な思いが、僕の重い腰を上げさせたのです。また、父親になったことで、衛生面への意識も大きく変わりました。特に、子供と一緒にお風呂に入る時、自分の体毛が多いことで、何となく不潔なのではないかと感じるようになったのです。全身の毛を処理することで、汗による蒸れやニオイを抑え、より清潔な状態で子供と接することができる。それは、家族全体の衛生環境を守る上でも大切なことだと考えました。そしてもう一つ、僕の頭をよぎったのは「介護脱毛」という言葉です。まだまだ先のことだとは思いますが、いつか自分が介護される立場になった時、アンダーヘアなどが処理されている方が、介護者の負担を大きく減らせるという事実を知りました。これもまた、将来娘に余計な苦労をかけたくないという、父親としての愛情の表れだったのかもしれません。僕が手にした脱毛器は、単なる美容家電ではありません。それは、娘への愛情を形にし、家族の未来を考えるきっかけを与えてくれた、父親としての新しい勲章のようなものなのです。痛みと戦いながらセルフケアに励む夜は、僕にとって、新しい家族の形を築いていくための、大切な時間になっています。
父になって僕がメンズ脱毛器を手にした理由