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  • 美容医療後遺症外来が救う人生の物語

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    私は美容医療後遺症外来で、数え切れないほどの「人生の物語」に触れてきました。その一つ一つが、美容医療の光と影、そして人間の回復力の強さを教えてくれます。今回は、その中でも特に印象深い、ある女性の物語をご紹介したいと思います。彼女は30代前半のAさん。数年前、流行に乗り遅れまいと、安易な気持ちで顔の広範囲に脂肪溶解注射を受けました。施術直後から顔全体が腫れ上がり、痛みと内出血がひどく、当初のクリニックからは「一時的なものだから」と説明されたものの、数ヶ月経っても腫れは引かず、顔はデコボコになり、左右非対称になってしまいました。人前に出るのが怖くなり、大好きだったカフェ巡りもやめ、外出すること自体が苦痛になりました。鏡を見るたびに涙が止まらず、仕事にも支障をきたし、ついには引きこもりがちになってしまいました。精神的にも追い詰められ、生きる気力さえ失いかけていた時、Aさんはインターネットで私たちの後遺症外来を見つけました。初めて来院したAさんは、うつむき加減で、ほとんど私と目を合わせようとしませんでした。細い声で、これまでの苦しみと絶望を語ってくれました。私はまず、Aさんの話を最後まで丁寧に聞き、彼女がどれほどの辛い思いをしてきたかを共感することに努めました。そして、現状の顔の状態を詳しく診察し、デコボコの原因は、不適切な脂肪溶解注射による脂肪組織の壊死と線維化である可能性が高いことを説明しました。治療は決して簡単ではないことを正直に伝えましたが、同時に「必ず改善の道はある」という希望も提示しました。Aさんの治療は、硬くなった組織を柔らかくするための注射と、デコボコを修正するためのごく少量の脂肪移植、そして何よりも精神的なケアを並行して行うことになりました。最初は半信半疑だったAさんも、毎週の診察で少しずつ顔の変化を感じ始め、何よりも私たちが常に彼女の不安に寄り添い、励まし続けたことで、次第に心を開いていきました。特に印象的だったのは、ある日、Aさんが「先生、今日、久しぶりに笑顔になれました」と、目に涙を浮かべながら話してくれたことです。それは、治療開始から半年が経った頃でした。顔のデコボコはほとんど目立たなくなり、左右のバランスもかなり改善されていました。