美容医療後遺症外来と一般的な美容クリニック、あるいは皮膚科や形成外科のクリニックとでは、その役割や専門性において明確な違いがあります。この違いを理解することは、万が一美容医療でトラブルが生じた際に、どこに相談すべきかを判断する上で非常に重要です。まず、一般的な美容クリニックは、主に患者さんの「美しくなりたい」という要望に応えるための施術を提供することを目的としています。しわの改善、たるみのリフトアップ、しみや脱毛、豊胸手術など、様々な美容メニューが用意されており、施術前のカウンセリングで患者さんの理想像を聞き取り、それに合わせた施術計画を立てていくのが一般的です。しかし、施術後の合併症や、予期せぬ後遺症が発生した場合の対応については、クリニックによって差があるのが現状です。次に、皮膚科や形成外科の一般的なクリニックも、もちろん医療行為を提供していますが、美容医療の後遺症に特化しているわけではありません。皮膚科は皮膚疾患全般を扱い、形成外科は外傷や先天性の異常、腫瘍の切除後の再建などを専門としています。これらの科でも、美容医療による皮膚トラブルや傷跡の治療を行うことは可能ですが、美容医療特有の複雑な後遺症、例えば多種多様な注入材によるトラブルや、複数の施術が絡み合った複合的な症状などに対しては、必ずしも深い知識や豊富な経験を持っているとは限りません。ここで「美容医療後遺症外来」の役割が明確になります。この外来は、名前の通り、美容医療の施術後に生じた様々な不調や合併症、後遺症の診断と治療を専門としています。その最大の特徴は、美容医療の知識はもちろんのこと、皮膚科、形成外科、時には内科や精神科といった幅広い医療分野の知見を横断的に持ち合わせている点です。なぜなら、美容医療の後遺症は、単一の専門分野だけでは解決できない複雑な病態を示すことが少なくないからです。例えば、ある注入材が原因で感染症を引き起こし、それが原因で神経に影響が出て麻痺が残る、といったケースでは、感染症の治療、注入材の除去、そして神経の治療と、複数の専門知識と技術が必要となります。
美容医療後遺症外来と通常のクリニックの違い