子供二人を連れ、近所の内科に、インフルエンザの予防接種を打ちに行った時の話です。いつもは小児科で早めに予約をいれていたのですが、その年はすっかり忘れてしまい、気がついた時にはすでにどこの小児科も予約終了。飛び込みやキャンセル待ちは一切受け付けませんとの事で困り果ててしまい、しょうがなしに行った事のない近所の内科で予約を取りました。そこは70過ぎのおばあちゃん先生が一人で診察しているクリニックで、患者もほとんどおらず、不安になり引き返そうかどうか迷いましたが、電話で予約を取ってしまった以上やはりいいですと言う訳にもいかず、心の中で子供にゴメンねを言いながら診察に呼ばれるのを待ちました。順番が来て診察室に入ると、分厚いメガネをかけたおばあちゃん先生が一人。子供に椅子に座るよう促してきたので、子供を座らせ、私が後ろに立って子供のアシスタントをしようとした時、「お母さん、私は今からこの子とお話ししますからね。お母さんは黙って見ていてあげてくださいね。」そう言って私を少し離れた場所に立たせ、まだ4歳の息子に向かって問診を始めました。しっかりした子なら4歳でも問題なく問診できるのかもしれませんが、うちの息子は発達がゆっくりでおしゃべり下手。絶対に一人で受け答えなどできる訳がないと思っていたのですが、おばあちゃん先生が、ゆっくりと時間をかけて、優しい言葉で行ってくれたため、時間はかかったもののちゃんとできました。ビックリしたのはその後、一人で問診できた事に自信をつけた息子が、注射も一人で打つからママは来なくていいというのです。おばあちゃん先生は「子供はなんでもできる力を持っているんですよ。」とニッコリ。私を残して処置室に移動し、本当に一人で注射を打ってきました。私たち親は子供に嫌な思いをさせたくない、守ってやりたいという思いからつい過保護になりがちですが、おばあちゃん先生のように子供を信じて、自信をつけさせてあげる事も大切なんだな、と痛感したエピソードでした。